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ストレスチェック結果の平均値は信用できない?

2015-12-08 テーマ: メンタルヘルス対策

ストレスチェックを実施したA社とB社。

総合健康リスクの値はA社が85(全国平均=100)、B社が90で、どちらも全国平均よりもリスクが低い結果となりました。
ところが、厚生労働省の推奨に準拠して高ストレス者を選出したところ、A社は高ストレス者が回答者の約2%だったのに対し、B社は高ストレス者が20%以上となっていました。高ストレス者は全国平均で全体の10%程度が高ストレス者と判定されるように基準が設定されています。

 

つまり、健康リスクの値は5ポイント差で、いずれも全国平均よりもリスクが低いとされながら、高ストレス者を抽出すると、A社は全国平均の5分の1に対しB社は全国平均の倍の高ストレス者がいたことになります。

 

なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

平均値だけではわからなかったので、散布図とヒストグラムで個別結果の分布を調べると原因がわかりました。

A社はほぼすべての従業員の健康リスクが全社平均の85プラスマイナス10ポイント程度の中におさまったのに対し、B社は全社平均の90プラスマイナス10ポイント以内に収まっているのは全体の20%程度でした。B社では健康リスクが全国平均よりも20ポイント以上低い人たちが30%近くいる一方で、健康リスクが全国平均を上回る人たちが50%弱存在したのです。

また、B社は総合健康リスクの算出には使用されない「ストレス反応」の項目が高い(=ストレス度が高い)方が多い傾向もありました。

結果的にB社では健康リスクが低い人たちに引っ張られて平均値は低いものの、高ストレス者も多く存在するという事態が起きました。

 

現状のストレスチェックの制度では、個人へのフィードバックを行えば、企業へのフィードバック(集団分析)は必須ではありません。また、外部機関が提供しているストレスチェックのシステムの中には、平均値の算出しかできず、個別の分布がどのようになっているのかまでわからないケースもあります。

現実には、上記のB社のように平均値で見れば従業員のストレス状態は適正に見えるものの、細かい分析をするとリスクが浮き彫りになってくるケースというのは少なくないと思います

 

ストレスチェックを形骸化させずに、本当に従業員の健康のために実施するのであれば、平均値だけで一喜一憂するのではなくで、細かい分析も加える必要があるのです。

株式会社カイラボ 代表取締役
早期離職対策・社員定着率向上コンサルタント
「早期離職白書」の作者であり、若手社員と育成担当者への研修・セミナーを全国で実施している。 また、2015年10月よりストレスチェックサービス「りーふBiz」をリリースし、現在はメンタルヘルスケアサービスも展開中。

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