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2.メンタルヘルスの「現状」

働く人のメンタルヘルスの状況を常に把握しておくことは大切だが、客観的なデータはなかなか得られない。日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」の調査を参考にしながら、メンタルヘルス(心の病)の現状を見ていこう。

なお、同研究所は、2002年から企業を対象に2、3年に1回アンケートを実施している。今回は、2019年11月22日にリリースされた、「第9回『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果」を基にした。

(1)2019年までの心の病の増減傾向

「心の病の増減傾向」の結果を示したのが以下の表である。

図表1:心の病の増減傾向(%)
  2002年 2004年 2006年 2008年 2010年 2012年 2014年 2017年 2019年
増加傾向 48.9 58.2 61.5 56.1 44.6 37.6 29.2 24.4 32.0
横ばい 24.8 25.0 29.4 32.0 45.4 51.4 58.0 59.7 54.7
減少傾向 3.5 1.9 1.8 4.5 6.4 7.8 9.2 10.4 10.2
わからない 20.9 13.4 7.3 5.6 2.8 1.8 2.0 5.4 3.1

*出所:第9回『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果(日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」/2019年)

最近3年間、心の病が「増加傾向」に転じたのは注目すべきポイントである。日本生産性本部は、「企業がメンタルヘルス対策をストレスチェック制度に依存した結果、マネジメントを通じてメンタルヘルス対策をする意識が薄れている」と分析している。2020年には新型コロナウイルス感染症対策で生活が激変したこともあり、今後も心の病の増加傾向が続く恐れがある。

(2)心の病の多い年齢層

では、心の病を抱える人はどの年齢層に多いのだろうか。以下の表を見ると、「50代以上」以外で心の病を抱える人の割合はほぼ均等だ。

図表2:「心の病」の最も多い年齢層(%)
  2002年 2004年 2006年 2008年 2010年 2012年 2014年 2017年 2019年
10-20代 13.1 10.4 11.5 10.8 13.9 18.8 18.4 27.9 30.6
30代 41.8 49.3 61.0 59.9 58.2 34.9 38.8 32.6 33.3
40代 27.0 22.0 19.3 21.9 22.3 36.2 32.4 35.8 29.6
50代以上 9.6 5.6 1.8 3.0 1.2 3.2 4.4 3.7 6.5

出典:第9回『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果(日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」/2019年)

2017年には30代が32.6%、40代が35.8%で、中堅の年齢層で心の病を抱える人が多かった。もともと中間管理職として、上司と部下の板挟みになることが多く、ストレスを抱え込みやすい年代といえるだろう。

2019年になると変化が見られた。心の病を抱える人の割合が40代は35.8%から6.2ポイント減って29.6%となった。逆に10〜20代は2.7ポイント増加し、30.6%となった。

10~20代で心の病を抱える人が増えた理由として、キャリアの見通しが立てにくいことが挙げられるだろう。経済も停滞する中で、今後の生活への不安なども増しているはずだ。また、職場との不適応で心の病を抱えてしまう場合もあるといえる。同調査では、年功制が崩壊し、10~20代がかつてのような養成期間とみなされず、即戦力として期待されるようになったことも影響していると推察する。

(3)組織風土と「心の病」の関係

次の調査結果は、「心の病の増減傾向」と「組織の状態」「取り組み」の項目をクロスさせたものである。なお、項目が多いため、表は最後にまとめて記載した。

調査結果からいえることは、組織風土と「心の病」は関連が深いということである。長時間労働を強いることなく、場所に縛られない働き方を促した企業では心の病が減少傾向にあるのだ。

「長時間労働対策の効果があがっている」という設問に対して、「とてもそう思う」「そう思う」と答えた割合が最も多かったのは心の病が「減少傾向」にある会社で、82.6%に上った。

また、心の病が改善傾向にあるほど、「場所に縛られない働き方改革の効果があがっている」について「とてもそう思う」「そう思う」と答えている。「減少傾向」の企業では合わせて43.4%に上った。「横ばい」の企業では27.6%、「増加傾向」の企業は25.8%にとどまっている。

とはいえ、働き方改革が進んでいる企業であっても、心の病が増加傾向にある割合も高い。組織風土が改善されたからといって、心の病が減少するとは限らないことを念頭に置いておく必要があるだろう。

図表3:組織風土・取り組みと「心の病」の増減傾向
職場・組織の生産性は向上している(%)
  そう思う ややそう思う あまりそう思わない そう思わない
増加傾向 1.4 47.8 46.4 4.3
横ばい 5.7 44.3 45.9 4.1
減少傾向 8.7 52.2 21.7 17.4
健康増進(健康経営)の効果があがっている(%)
  とてもそう思う そう思う あまりそう思わない そう思わない 特に取り組みは行っていない
増加傾向 4.3 34.3 41.4 5.7 14.3
横ばい 0.8 39.8 41.5 5.7 12.2
長時間労働対策の効果があがっている(%)
  とてもそう思う そう思う あまりそう思わない そう思わない 特に取り組みは行っていない
増加傾向 4.3 55.7 27.1 7.1 1.4
横ばい 0.8 65.9 17.9 2.4 0.0
減少傾向 0.0 82.6 8.7 0.0 4.3
場所に縛られない働き方改革の効果があがっている(%)
  とてもそう思う そう思う あまりそう思わない そう思わない 特に取り組みは行っていない
増加傾向 2.9 22.9 28.6 8.6 37.1
横ばい 2.4 25.2 25.2 10.6 36.6
減少傾向 4.3 39.1 13.0 8.7 34.8

*出所:第9回『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果(日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」/2019年)

(4)ストレスチェックの課題

最後に、ストレスチェックの課題について調査した結果を紹介する。結果は以下のグラフのようになった。

ストトレスチェックに関する取り組みでの課題(複数回答)

*出所:第9回『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果(日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」/2019年)

このグラフを見ると、2017年から継続して「集団分析結果の活かし方」を課題として挙げる企業が多いことがわかる。また、「医師面接勧奨者が面接を希望しないこと」の割合が、2017年には30.3%であったのに対し、2019年には39.8%と増加している。

まず、集団分析結果の活用方法を考える際には、適切な集団の形成が必要だ。集団分析の際には、社内で任意の母集団を形成することになる。母集団は部署・チームなどで形成する場合が多いだろう。

では、なぜ部署・チームで母集団を形成したのか、その理由が明確になっているだろうか。集団を形成する際には、「なぜこのような集団にしたのか」という意図を確認しておくことが大切である。そして、集団ごとの平均値を比較することで、職場の環境改善につなげていくことが必要だ。

また、医師面接対象者が面接を希望しないことについては、面接が本当に必要なのかを判断する必要があるだろう。ストレスチェックで抽出されたとしても、必ずしもリスクが高いとは限らない。面接が必要かどうかは、個別に面談するなどして判断する必要があるだろう。

調査後の対応については、対象者への対応があいまいにならないよう、あらかじめ社内でルールを決めておくのが望ましい。

面接対象者に抽出されない場合でも、ストレスを抱えている可能性がある。ストレスチェックの結果が全てだと思わず、可能な限り従業員の様子を観察する必要があるだろう。

参考: https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf

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