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「健康経営の視点からみたメンタルヘルス」②

2018-04-19 テーマ: メンタルヘルス

前回のコラムでは、プレゼンティーズムとアブゼンティーズムについて紹介しました。今回はメンタルヘルスとの関連について紹介します。

 

プレゼンティーズムの中でも、メンタルヘルス不調関連を調査したある研究では、

「腰痛・首の痛み」「抑うつや不安といった気分症状」「慢性頭痛」「胃腸の障害」「不眠」など、

うつ症状を併発する可能性のある5つの状態について、年代、性別ごとに分析しています。

この結果の中で、男女共に全ての年代が最も就労に影響している健康状態を「腰痛・首の痛み」と回答していることからも、

日常の「ちょっとした調子の悪さ」が就労に大きく影響している、ということが示唆されます。

 

また、過去4週間の労働損失にかかる損失を金額で換算した“労働損失額”では、

「抑うつや不安といった気分症状」によるインパクトが大きいことが示されています。

特に男性では、40代・50代の「抑うつや不安といった気分症状」が約113千円、

約102千円と最もインパクトが大きく、女性では20代から50代の全ての年齢層で「抑うつや不安といった気分症状」のインパクトが大きく、

金額で換算すると平均約71千円の労働損失であることが示されています。

 

このようにメンタルヘルスに関連する症状や状態は、生産性に及ぼす影響が大きいことがわかります。

 

また経産省の「健康経営オフィスレポート」によると、プレゼンティーズム解消の中でも、

特にメンタルヘルス不調の予防・改善と関連のある「(オフィス環境の物理的な)快適性を感じる」「(職場内の)コミュニケーション」「(各自の)健康意識を高める」ことを誘発する環境づくりが望ましいことが示唆されています。

 

したがって、プレゼンティーズムは日ごろの環境づくりから改善されることも多いといえます。

まずは、日常のオフィス環境や職場のコミュニケーション、食生活や生活リズム、セルフケアなど各自の健康意識がバランスよくとられているかどうか、改めて確認したいところです。

 

※:NPO法人健康経営研究会の定義による

 

<主な引用・参照文献>

経済産業省ヘルスケア産業課.企業の「健康投資」ガイドブック. 2014

経済産業省. 健康経営オフィスレポート.2016

Koji Wada, Mikako Arakida.The Economic Impact of Loss of Performance Due to Absenteeism and

 Presenteeism Caused by Depressive Symptoms and Comorbid Health Conditions among Japanese Workers. Industrial Health 2013; 51:482-489

 

キューブ・インテグレーション株式会社 コラボレーター
臨床心理士 【専門領域】産業精神保健、復職支援、認知行動療法、コーチング
外食企業にてマネジメントを経験後、飲食店不振店再生プロジェクト等に携わる。その後大手コーチングファームにて、管理職層のリーダーシップ開発等を目的としたコーチング、研修講師等を担当する。現職では、メンタル不調者への面談や復職支援等を担当。

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