“マイナスからゼロ”ではなく、“マイナスからプラス”の取り組みを目指す
臨床心理士や精神保健福祉士、精神科医、社会保険労務士、弁護士など、多彩な専門家によるチーム体制でメンタルヘルス事業に取り組んでいる株式会社ピースマインド。チーム体制という強みを活かして、ケアの範囲は組織分析から研修、セミナーまでフルパッケージで対応可能。6万人を越える被検者データを持つ独自の診断プログラムへの信頼も厚い。「組織で働く人に健康と活力を手に入れてほしい。それが組織の力になっていく」と語る荻原社長に、ピースマインドが取り組むメンタルへルス事業について話を聞いた。
荻原 国啓(おぎわらくにひろ)
1977年ロンドン生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。在籍3年次、双子の兄・英人とともに、人材紹介ビジネスを立ち上げる。その後、MLB(メジャーリーグベースボール)選手会公認エージェントの佐藤隆俊(現・取締役)との出会いをきっかけに、メンタルヘルスマネジメントの重要性を強く認識。1998年、個人、組織にまつわる “心の問題”を解決するため、株式会社ピースマインドを創業。代表取締役社長に就任。兄・英人は副社長。日本初のオンラインカウンセリングサービスを開始し、現在業界のパイオニアとして約400社の企業・対象者130万人以上に、組織のEAP(従業員支援プログラム)サービスを提供している。精神保健福祉士、産業カウンセラー。
精神科医、弁護士など専門家によるチーム体制で取り組む
---企業のメンタルヘルス支援に取り組む御社のサービスの特長を教えてください。
ひとつは信頼できる豊富な事例や組織分析のデータを持っていることです。当社の組織分析は厚生労働省が手がけたものがベースになっており、当社が手を加えるようになった時点で、すでに2万人もの被検者のデータが揃っていました。その後、当社で改良を加え、現在ではさらに4万人もの被検者のデータが集まっています。また、さまざまな専門家が集まったチームを作り、業務にあたっていることも特長のひとつです。メンタルヘルスは、人事の問題であるだけでなく、労務の問題でもあり、コミュニケーションの問題でもあります。事例によって、その現れ方はさまざま。ですから、あらゆるケースに対応できるよう精神科医、社会保険労務士、臨床心理士や精神保健福祉士、弁護士など、多彩な人材がチーム体制で動いています。当社ではこのような専門家チームをアウトソーシングしていません。自社ですべてまかなっています。そのおかげで情報は社内に蓄積され、複雑な事例データもしっかり共有することができています。
---専門家を組織化することで生まれるメリットはほかにもありますか?
情報共有がスムーズであることに加えて、組織分析以降の対策も一貫して行えることです。組織分析、対策、セミナーなど、メンタルヘルスに取り組むときに生じる一連の流れがありますが、パーツパーツで、アウトソーシングしているとうまくデータが活用できないのです。組織分析をして、その結果を人事担当者が理解したけれど、その後は何もしないということはよくあるケースです。部分的にメンタルヘルスに取り組んでいる企業がいまだに多いのが現実ですね。それではメンタルヘルス問題の解決は難しいのです。
メンタルヘルスへの対応は、費用ではなく投資だと考えるべき
---メンタルヘルスに取り組むときに、御社が大切にしている視点を教えてください。
メンタルヘルスにもっとも重要なのは予防の視点です。ですから、企業の皆様には、なるべく早い段階からメンタルヘルスに取り組み、事態の悪化を防いでほしいと考えています。2000年代の終わりころから、メンタルヘルスの問題がますます深刻化しています。具体的には、リーマンショック以降の流れになるのですが、それまでほぼ大企業のみにみられていたメンタルヘルスの問題が、中小企業でも顕在化するようになってきたんですね。40代以降のバブル世代は将来不安を抱えるようになり、30代のロストジェネレーション世代はリストラなどにより仕事の量が増え、質も求められるようになりました。この30代の世代はいま一番きついのではないでしょうか。現場での活躍を期待されつつ、裁量権はあまりない。それでいて部下のマネジメントもしなければならない。20代の新人世代には「新型うつ」が広がりはじめており、彼らの育成を担当する30代は本当に大変なんです。そんな状況ですから、どうしても現場の火消し作業が優先されてしまい、予防にまで手がまわっていないのが現状です。
---予防として取り組むには、どのような準備が必要ですか?
まずはメンタルヘルスを長期的な視点で捉えることです。当社は企業様と基本的に年間契約を結ぶようにしています。時間をかけてきちんと計画を立てなければ、メンタルヘルスは改善できません。経営課題として認識することが大事です。短期的な視点で、要対応者に医療的な対応や、応急処置だけを施しても効果は限定的です。もちろん、問題が起きている現場は短期的な解決もしなくてはなりませんから、バランスが大切です。短期的な視点と、長期的な視点を、外部組織に入ってもらってうまくバランスをとる必要があると思います。メンタルヘルスへの対応は費用ではなく投資。そういった視点を持っている会社の多くは、うまくケアできていますね。
働く人に活力が戻れば、職場にも活気が満ちてくる
---今後、御社が力を入れていきたいことはどのようなことですか?
当社がメンタルヘルス事業に取り組む理由は、たくさんの人々に健康的に仕事をしてほしいからです。働く人に活力が宿れば、職場に活気が生まれ、経営もよくなります。そのような視点から「ポジティブ・ステージ」という集合型研修をスタートさせました。メンタルヘルス対策と聞くと、マイナスを、さまざまな手法によりゼロに戻す作業に思われがちですが、そうではなく、プラスの作用をもたらしたいと考えています。また、30代の活性化には力を入れていきたいですね。働きざかりの彼らに元気がないと、彼らを上司に持つ若手からも活気が失われてしまいます。30代の活性化を図ることで、会社全体にエネルギーを吹き込みたいですね。できるだけ多くの人や企業に多くの良い影響を与えていきたい。そんな信念を持ちながら、これからもメンタルヘルス事業に取り組んでいきます。
---御社のメンタルへルスに対する姿勢や考え方がよくわかりました。今日は貴重なお話をありがとうございました。
企業データ
社名 | 株式会社ピースマインド |
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本社所在地 | 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-2-1 住友生命八重洲ビル4F |
事業内容 |
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設立 | 1998年 9月(創業) |
代表者名 | 代表取締役社長 荻原国啓 |