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トンネリング
[トンネリング]

「トンネリング」とは、心理学や行動経済学で使われる用語で、トンネルの中にいると外界が見えなくなるように、何かに集中しているがゆえに他のことに意識が回らなくなっている状態をいいます。トンネリング状態は、一つの物事に対する集中力は高まっているが、裏を返せばその他のことには注意散漫になっている、ということ。その視野の狭さによって、新たな問題を引き起こしたり、効率の低下につながったりする可能性があります。

トンネリングのケーススタディ

仕事の抜け漏れは、トンネリングが原因かも?
解決策は、計画段階から余裕を作ること

「予定がいっぱいで忙しい」「○時までに終わらせなければ」などと、時間に追われた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。時間に追われている状態は、私たちにさまざまな弊害をもたらします。その一つは、視野が狭くなること。私たちは、仕事、家族、地域社会、趣味など、さまざまなコミュニティや事柄に囲まれながら生きています。しかし、一つのことで手一杯になっていると、そのほかのことがおろそかになってしまいます。

センディル・ムッライナタン氏とエルダー・シャフィール氏による共著『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』では、金銭や時間などの「欠乏」が、人間の判断力や処理能力に大きな影響を及ぼしていると述べています。物事を思い通りに片付けられない、収入はあるのに目の前の出費を優先してしまい借金を重ねてしまう、ダイエットに取り組んでいるが長続きしない。このような失敗経験は、一つひとつの計画を達成できない、負の連鎖から生まれています。

本書では、トンネリングから抜け出すための一番の解決法は「余裕(=スラック)を作ること」だと提案しています。それも、物事を遂行している段階ではなく、計画の段階からスラックを作っておくことが重要だといいます。

例えば仕事が16時までかかりそうなとき、相手にそのまま「16時に終わります」とは伝えない。想定外の予定が入ってしまうと、時間通りの完成が危うくなるからです。そういう状況を避けるため、あえて「18時に終わります」と伝える。このようにスラックを意図的に設けることで、精神的にも時間的にも余裕が生まれ、トンネリングを回避することができるのです。

クライアントに何かを納品したり、上司に報告書類を提出したりするとき、スケジューリングにあなたの意思は反映されているでしょうか。いつも相手側が締切をハンドリングし、緊急性の高い仕事ばかり依頼してくるような環境であれば、まずはスラックを作り出せるよう、スケジューリングの意思決定に関われるようにするのが、脱トンネリングの第一歩です。仕事だけではなく、困った習慣や直らない癖も、トンネリングが原因になっている可能性があります。自分の意思や集中力を過信せず、計画に余白を作ることを意識してみると、生活は大きく変わるかもしれません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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