スメルハラスメント
[スメルハラスメント]
「スメルハラスメント」は「スメハラ」とも略され、体臭や口臭などによって周囲の人に不快感を与えることをいいます。においの原因は必ずしも体臭だけではなく、柔軟剤や香水の強い香りが原因になることもあります。セクハラやパワハラとは違い、スメハラは個人の体質に関わるデリケートな面もあり、指摘することが人権侵害となりかねない点が解決を難しくさせています。においのもととなっている当事者に悪意がなく無自覚であることも、うまく対応できない一因となっています。
スメルハラスメントのケーススタディ
周囲のもっとも「どうにかして欲しいこと」
「におい」が堂々の一位に
体臭、口臭、たばこ、生乾きの洗濯物のにおい、アロマに香水……。上司や同僚の「におい」は、もっとも話題にしづらい問題かもしれません。株式会社マンダムが2017年に行った「職場のニオイに関する意識調査」によると、「職場での周囲の身だしなみでもっとも“どうにかして欲しいこと”」の1位は「におい(体臭)」で67.1%、2位も「におい(口臭)」で60.2%でした。
においは持って生まれた体質や病気が原因になっている場合もあり、本人に伝えにくいセンシティブな事柄です。さらに加齢臭となると、においの原因となっているのは年齢の高い役職者が中心であり、より伝えにくいと感じるかもしれません。また柔軟剤や香水は、つけている本人にとっては良い香りでも、周囲では強いにおいと感じているケースもあります。
働きやすい環境をつくることが経営者や人事の使命であるならば、においは職場の解決すべき問題の一つです。面と向かって言いにくいにおいの問題を、職場の環境問題として対策に乗り出す企業が出てきました。
例えば、眼鏡の製造・販売を手がける株式会社オンデーズは、従業員の服装規定に「におい」の項目を設け、人事評価に反映しています。同社が実施した顧客満足度調査で、来店客の74%がタバコや香水などのにおい、体臭にマイナスな印象を持っている結果を受けたもので、勤務時間内の禁煙は本社スタッフにも義務付けているといいます。
このほかにも、空気清浄機などの空調機器を充実させる、部署や組織全体でにおいへの意識付けをする、ハラスメント対策委員会を通して本人に指摘する、といった対策が考えられます。
においの原因となっている当事者に伝えるときには、二人きりで伝える、同性から伝える、具体的な改善案を提案するなど、本人の「恥ずかしさ」に配慮しましょう。誰もが気付かないうちにスメハラの加害者になりえます。よりよい職場環境を作るため、根気よく従業員を啓蒙していくことが大切です。