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採用選考で障がいの理解が難しい理由とは?

2025-07-25 テーマ: 障がい者雇用

採用選考で障がいの理解が難しい理由とは?

~精神障がい者の面接選考の対応のヒント~

近年、障がい者雇用の中でも精神障がい者の採用は増加傾向にあり、
採用選考や受入れ体制の整備について様々な検討をされていることと思います。

その中で、精神障がい者の採用経験が少ない担当者からは
「面接で障がいを十分に理解できるだろうか」
「配属先で適切な配慮ができるのか」といった不安の声を伺うようになりました。

そこで今回は、精神障がいの特性について、
面接選考時の対応のヒントを踏まえてご紹介します。

 

面接の限られた時間の中で、
精神障がいをより理解するために押さえておきたい特性としては、
下記の3点が考えられます。

1. 多様かつ個別性が高い

精神障がいの場合、同じ病名であっても、
ストレスの原因や耐性、症状、業務遂行への影響は一人ひとり異なります。

―起こりがちな例―
「A部署に安定して就業を続けている障がい者社員(うつ病)がいるため、
同じくうつ病の障がい者社員を配属したところ、A部署から
『なぜ電話応対への配慮が必要なことを確認しておいてくれなかったのか』
と指摘が入った」

―対応のヒントー
応募者個々の障がい・疾患の状態や必要な配慮については、
改めて詳細な確認が必要です。
上記の例では、既存社員は電話応対に配慮は不要でしたが、
新たに受け入れた社員には配慮が必要でした。
A部署が電話応対の多い職場であれば、配慮の負担が大きくなる可能性があります。
また「電話応対に配慮が必要」といってもその程度は様々で、
基本的に電話対応が難しいケース(聴覚情報の処理が困難等)もあれば、
社内の取次ぎなら対応可能なケース(客先からの電話応対に強い不安を感じる等)
もあります。
このように、業務遂行に必要な配慮の有無やその具体的な内容については、
人によって異なることが多いため、採用選考時に丁寧に確認する必要があります。
さらに、部署内で既に実施している配慮が今回の採用者にとって適切か、
あるいは新たに必要な配慮な場合に提供可能かなどをA部署と連携して検討することで、
採用後のミスマッチを減らすことができます。

2. 状態変化が捉えにくい

身体・知的障がいと比べると、
精神障がいは症状が固定化されず、状態変化が捉えにくかったり、
環境要因によって症状が悪化しやすい傾向があります。

―起こりがちな例―
「採用選考時には症状が安定していたため安心して採用したが、
数ヶ月後から体調不良による欠勤が増え、最終的に退職してしまった」

―対応のヒントー
採用選考時に状態が安定している場合でも、
その後の状態変化の可能性を考慮する必要があります。
個人情報の扱いに十分に配慮しながら、
過去の体調不良の経緯や症状、不調時にどのような対処をして回復に繋げたか、
職場環境の変化に対する不安等を確認し、
状態変化に対応できるような対策を配属部署と検討しておくことが重要です。

3. 本人も自己理解が難しい場合がある

障がい特性による影響や、業務遂行上の困難さを
本人も客観的に認識することが難しい場合があります。

―起こりがちな例―
「採用面接では、業務スキルについて
『できます』『問題ありません』という返答だったため
幅広い業務のある部署に配属させたが、
実際には配慮が必要な業務が多く、職場に負担がかかってしまった」

―対応のヒントー
上記の例では、将来の見通しを立てて行動することが苦手な特性があり、
面接を通過することに意識が向きすぎて必要な情報を伝えられなかった
可能性があります。
あるいは、本人が意図的に虚偽の申告をしたのではなく、
自身の能力を客観的に理解できていないという可能性も考えられます。
一方で、自己肯定感が低い応募者の場合には、自分を過小評価して、
本来のパフォーマンスをアピールできない方もいるかもしれません。
より正確な情報を得るためには、
採用選考時に率直に話せるような対話方法や質問内容を工夫したり、
必要に応じて支援機関など第三者からの情報を得ることも有効です。


採用活動では、採用面接場面以外でも、
今回ご紹介した精神障がいの特性を踏まえ、
応募者に合わせた柔軟な対応が必要になります。

そのため、採用活動のどの段階にどのような課題が生じうるかを把握し、
事前に準備をしておくことが不可欠です。

セミナーでは、採用活動の各段階(採用活動前・募集活動・選考活動)における
採用担当者の準備について、詳しく説明させていただく予定です。

キューブ・インテグレーション株式会社 コラボレーター
公認心理師/臨床心理士/精神保健福祉士 【専門領域】人事支援・産業精神保健
大学院修了後、カウンセリングオフィスにて個人及び集団の心理療法・心理検査に従事。その後、都内国立大学にて学生への心理面接や学内ケースワーク、精神保健業務全般に携わる。現職参画後は民間企業/行政機関の障がい者雇用支援、主に採用活動支援に従事。

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