メンタルヘルス.jpトップ > 専門家コラム > 「Zoom dysmorphia(ズーム醜形症)」
このエントリーをはてなブックマークに追加
専門家コラム

「Zoom dysmorphia(ズーム醜形症)」

2022-07-05 テーマ: メンタルヘルス

【ヒューマン・タッチ レター vol.100】     

みなさん、こんにちは。 
株式会社ヒューマン・タッチの森川です。 

前回は、「感情労働としてのテレワーク」について話題提供させていただきました。 
在宅勤務から、出社での勤務形態に戻る業務が増える中、それでもWebを使った会議などは残っていくのではないか、との考え方が一般的ですね。 

私自身も、お客様との打合せのみならず、個別面談やセミナーの開催についても、後戻りできないほどWebでの比率が高くなってきています。 

 

そんな中、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が美容整形への関心を高めていることを示すデータがあります。 

【新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で,今まで以上に自分の容姿に不満を感じていると報告する患者は 80%を超えていた(Rice, Siegel, Libby, Graber, & Kourosh, 2021)。】 

どのような理由が考えられるのでしょうか? 

ひとつは、在宅勤務となり、食生活や運動のリズムが変化し、体重や体型の変化を気にする人が増えた、もうひとつは、ZoomをはじめとしたWebでのミーティングにより、自分の姿を人と比べて確認することが出来るようになり、自分の欠点に目が行くようになった。また、普段鏡では見ることの無い自分自身の表情をみることになり、理想とのギャップを知ることになった、とも考えられます。 
【矢澤 美香子 武蔵野大学・鈴木 公啓 東京未来大学、2022】 

 いままではあまり意識しなかった自分の表情や外見について、否応なく直面(画面を通じて)させられる機会が増え、また、直面するだけでなく、他の人との比較(画面すぐ横に他の人の顔がある!)も出来てしまう状況が特定の不安を導きやすくなるのではないでしょうか。 

 正式な病気の分類ではありませんが「Zoom dysmorphia(ズーム醜形症)」との概念も発表されています。 

精神科的な疾患としては、「身体醜形障害」とうものがあります。「極度の低い自己価値感に関連して、自分の身体や美醜に極度にこだわる症状。実際よりも低い自己の身体的なイメージが原因。俗に醜形恐怖また醜貌恐怖とも呼ばれる。」ものですが、「Zoom dysmorphia(ズーム醜形症)」も「身体醜形障害」の概念で理解されるものと考えます。 

今後、画面ではなく、実際場面でのコミュニケーションに移行する際には、外見や見た目から相手と接することに不安を持つ人も出てくるかもしれません。 

出社のしづらさを、単に「なまけ」「さぼり」と理解するのではなく、その奥にある出社を邪魔する要素も見ていければと思います。 

ただ、矛盾するようですが、個人的な感想としては、過度にこれらの現象を意識するよりは、対面でのコミュニケーションの良さや楽しさ、を再度確認する機会があれば、それほど気にすることでもないようには思います。 

フルでの出社勤務の前に、改めて飲み会や、社内行事等、皆が顔を合わせて、話をして、楽しめる場などを検討してみるのも一つではないでしょうか。 

株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
通算500社以上のコンサルティング、900件以上の復職面談、年間100件以上のセミナーをこなすメンタルヘルス対策専門コンサルタントです。
メンタルヘルス対策の仕組みづくり、個別休職復職支援、ラインケアセミナー、セルフケアセミナー、全員面談、ストレスチェック、職場環境改善、災害・自死等の危機対応など、「こころ」の視点から、「いきいき職場づくり」をトータルに支援いたします

専門家コラムナンバー

 専門家コラムバックナンバー一覧へ

メンタルヘルスサービスをお探しの企業様へ

『メンタルヘルス.jp』の掲載企業・サービスについて事務局のスタッフが、ご紹介・ご案内いたします。

  • 掲載企業に一括お問合せが可能です
  • 特定の企業に絞ってのお問合せもできます
  • 企業選定のご相談も承ります

まずは下記「お問合せ」ボタンをクリックし、ご連絡先、ご要望等を入力の上、事務局までお気軽にお問合せください。

お問合せ
プライバシーマーク