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専門家コラム

無意識のパワハラ言動をなくすことはできるのか

2021-06-04 テーマ: 人事支援

「あの人のパワハラは、昔からなんだよね。悪気はないんだけど・・・
 ああいう人は変わらないよね。」

 

職場ヒアリング等の場面で、こうした言葉をお伺いすることがあります。

 

このように“悪気はないけどパワハラリスクが高い”言動について、最近メディア等でも、
「無自覚パワハラ」等と表現され、クローズアップされるようになってきました。

 

パワーハラスメントについては法制化以降、ハラスメント防止のために多くの企業が研修
の実施などの施策を行っています。
研修を実施することで「自分の言動がパワハラにならないように気を付けよう」と、思い
を新たにする管理職の方がほとんどだと思います。

 

ところが上述のように、無自覚が故に「自分は大丈夫」「そんな酷いことはしていない」
とか、「部下のほうにも問題がある。」と考えていて、自身の言動がハラスメントの可能
性があることを認識していない方も一定数いらっしゃいます。
こうした方々は、自身の行動を変える必要性に気付いていないので、ハラスメントの問題
を自分のこととして捉えることが難しく、一般的な研修だけでは、行動変容に繋がらない
ことが多いのです。

 

ではどうしたら、こうした方々に自身の課題や行動変容の必要性を認識してもらえるので
しょうか?

 

ポイントは自身が“無自覚”であることに気づいてもらうことですが、それを実現するた
めに有効な方法は二つあります。

 

一つ目は、360度評価やアンケート調査等で自己評価と他者評価のギャップをダイレクトに
見せる方法です。
二つ目は、他者の話を聞くことで、自身の認識と周囲の認識とのズレに気付いてもらう方
法です。

 

一つ目の、360度評価やアンケート調査等で自己評価と他者評価のギャップをダイレクトに
見せる方法ですが、実際に360度評価の項目の中に、ハラスメント言動の有無を確認する質
問が含まれているものもあります。
このような取り組みは気づきを促すには大変有効です。一方で、部下や同僚から評価をも
らうこと自体が非常に勇気の要ることではあります。単に結果を突きつけるだけでは、
評価内容を受け止めきれず、ショックを受けメンタルヘルス不調に陥る方もいらっしゃい
ます。また、かえって周囲との関係が悪化してしまうこともあります。
ですので、気づきを促すには非常に有効な手段ではありますが、こうした評価を導入し活
用するためには、慎重な対応を要するものでもあります。

 

二つ目の、他者の話を聞くことで自身の認識と周囲の認識とのズレに気付いてもらう方法
ですが、基本的なハラスメントに関する知識研修を受けた人を対象に、ワークショップ形
式で、実際の事例を元にディスカッションをしながら理解の促進を狙うものになります。
社内で同様の立場で部下と接している人同士で、同じ事例について意見交換してもらうと
「昔は自分もこんなこと言っていたけど、今の時代はマズいよね」等といった、他の参加
者からの発言を聞くことで、自身の“マズさ”に気付くきっかけになります。

 

無意識のパワハラ言動は、企業にとってもご本人にとっても非常にリスクが高く、早急な
行動変容を要する問題でもあります。とはいえ「あなたの言動はパワハラですよ!」とか
「パワハラは良くない!」と正論をぶつけても、人の行動は簡単に変わるものでもありま
せん。

 

自身のパワハラ言動を少しでも認識していただくためには、気づきの機会を提供すること
が欠かせません。
一方、自分の課題に目を向けるときは、誰しも痛みが生じます。
そこで気づきの機会を提供した直後にフォローアップを行うことが何より重要になります。
フォローアップの際は、まずは部下を育てることの難しさに理解を示すことや、ご本人の
部下育成のスタイルがどのように形成されたのか等、丁寧に耳を傾けるところから始めて
いきます。
そうすると次第に、自身の行動変容の必要性やリスク、自身の責任について認識が持てる
ようになっていきます。
パワハラリスクの高い方は、最初は反発してこちら側に詰め寄る方も少なくありませんし、
前述のようにご自身がメンタルヘルス不調に陥る場合もあります。それも変化のプロセス
のひとつなのですが、こうした心理的な揺れ動きも想定し、専門家を交えたアプローチが
望ましいと考えます。

                                                                                 (コラボレーター 伊東あづさ)

キューブ・インテグレーション株式会社 コラボレーター
臨床心理士 【専門領域】産業精神保健、復職支援、認知行動療法、コーチング
外食企業にてマネジメントを経験後、飲食店不振店再生プロジェクト等に携わる。その後大手コーチングファームにて、管理職層のリーダーシップ開発等を目的としたコーチング、研修講師等を担当する。現職では、メンタル不調者への面談や復職支援等を担当。

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