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専門家コラム

50人未満の企業での安全衛生管理

2021-05-06 テーマ:

従業員数50人未満の事業所では、産業医や衛生管理者の選任の義務もなく、安全衛生
に関して企業の努力義務に任されています。


その一方、従業員が生命、身体等の安全を確保しつつ労働ができるように必要な配慮
をする安全配慮義務は、すべての企業で義務付けられており、安全配慮を安易に怠る
ことは危険です。
「現状では特に何も問題は起きていない」と積極的に取り組まれていない企業もある
かもしれませんが、何かあってからではなく、起こらないよう未然予防が大切です。

長時間の残業時間を把握しいていたにもかかわらず適切な処置をしていなかったなど、
安全配慮義務違反により企業に対し損害賠償の支払いが命じられた事例がメディアで
も社会問題として大きく取り上げられていることはご承知のことと存じます。
長時間残業の放置の他、業務中の事故、健診を未受診にもかかわらず放置していた、
健診結果で異常があると知りながら業務をさせ健康の悪化を招いた、といった場合も
安全配慮義務違反に問われることがありますが、こういったことは大企業だけの問題
ではありません。


従業員50人未満の企業であっても健康診断の実施、有所見者に対する医師からの意見
聴取や長時間労働者への医師の面接指導等は安全配慮の観点から行うことが望ましい
とされているのですが、実施率が低いのも現状です。
一方、何か問題が起こった時にこれらの実施の努力義務を怠ったと判断された場合は、
従業員数に関わらず、安全配慮義務違反になる可能性もありますので、安全衛生管理
には早い段階から取り組んでいきたいものです。

 

とはいうものの、安全衛生管理は専門的な知識を要する業務も多く、大企業のように

産業医や衛生管理者といった専門家が不在であったり、人的資源も十分ではなかった
りといった状況では、担当者の負担は大きく対応は困難であることが予想されますの
で、マネジメントをサポートしつつ、その企業に合わせた安全衛生体制づくりに貢献
できる専門家がいると心強いかと思います。

産業医や衛生管理者は法令で配置の義務が決められているため、安全衛生の専門家と
して認知が高いかと思いますが、産業医や衛生管理者の選任義務のない中小企業には
産業保健師の活用もお勧めです。
産業保健師は働く人の疾病の予防や健康増進などの活動を行う専門家で、保健指導や
健康相談、休復職者対応など、社員の健康に関して幅広く対応することが可能です。

 

事業所の特徴をよく知る担当者と健康情報の専門家が協働することで、法令遵守のた
めの取組みの推進に加え、事業所独自の健康課題の解決に向けた取組みを実施するこ
とも可能となります。

                                                                  (シニアコラボレーター 田口 朋子)

キューブ・インテグレーション株式会社 シニアコラボレーター
保健師 【専門領域】産業保健
病棟看護師や教職に従事した後、保健師として特定保健指導受託企業に転職。現在は産業保健師として企業の健康経営と社員の健康管理支援を行っている。

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