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セクハラ問題へのリスクマネジメント

2020-10-01 テーマ:

セクハラ問題へのリスクマネジメント

-対応時に中立性・公平性を保つことの難しさ-

 

管理職が部下からセクハラの相談を受けた時、「中立的な立場で話を聞き、事実を基に公平に対処する」ことが必要不可欠です。しかし、このことを頭では理解していても、実際には偏った(または、偏ったと思われる)対応により、問題がこじれたり、被害者がさらに傷ついてしまう体験(二次被害)となったりすることがあります。それはなぜでしょうか。以下の事例を読んで考えてみましょう。

 

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「課長、少しお時間よろしいでしょうか…?」部下のAさんがいつもより深刻な表情で、課長であるあなたのところに相談に来ました。なんだろう?と気になりましたが、気軽に内容を聞けるような雰囲気でもなかったため、会議室で話を聞くことにしました。

 

課長:「どうした?いつもより深刻そうな様子だけど。」

Aさん:「実は先日、Bさんに食事に誘われて、、何度も誘ってくださっていたので断るのも失礼かと思ったし、仕事の相談にも乗るからっていうことだったので行ったんですが、、途中から手を握ってきたり抱き着いてきたりされて、、やんわり拒否したんですけど結構しつこくて。それでも何とかその日は家に帰ったんですけど、『また食事に行こうね』と言われてしまって、、、。同じようなことをされるかと思うと憂鬱だし行きたくないんですけど、邪険にも出来ないし、、職場に来てBさんを見るのも正直しんどいです。仕事にも集中できてなくて、ミスも増えているので申し訳なくて。」

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さて、あなたはこの事例のAさん・Bさんについて、まずどんな人物をイメージしたでしょうか。Aさんが若い女性の部下で、Bさんがある程度年配の男性上司と思いませんでしたか?この事例を、例えば、Aさんが男性部下、Bさんが女性上司とすると印象が変わってきませんか?

 

また、実際の場面では日ごろの様子も知った上で対応することになります。Bさんから「Aさんのミスを叱責したらちょっとトラブルになってしまって…」という相談を受けていた場合には『AさんはBさんに怒られたことの仕返しに“セクハラされた”と言い出したのかな』と思うかもしれません。あるいは、Bさんは以前にも同様の対人関係トラブルで現在の部署に異動してきたという経緯があると、事実確認の段階からBさんを加害者扱いしてしまうこともあるでしょう。

 

人の言動や判断には、必ずそれまでに得た知識や情報が(たとえ無意識であっても)影響します。管理職であるあなたと行為(加害)者/被害者とのこれまでの関係や、あなたが双方に持っている印象によっても、“中立的な立場で”話を聞き、“公平に対応をする”ことが難しい場合があります。反対に、部下も日ごろからあなたの言動を見ていますので、たとえあなたが適切に対応したとしても、どちらかに肩入れしていると思われてしまう可能性もあるのです。

 

セクハラ問題に対して中立性・公平性がない(または、そう捉えられる)対応をしてしまった結果、被害者が精神障害を発症したり訴訟を起こしたりすると、管理職としてのあなたの責任だけではなく、会社としてもリスクとなります。そのため、部下からセクハラの相談を受けた場合には、その場では誠実に話を聞くことを最優先にし、判断や対応については第三者である社内の専門部署や外部のセクハラ窓口を活用するなどして、一人で抱え込まないことが望ましいでしょう。パワハラの法的規制が始まるなど、ハラスメント全般に対する社会の目は年々厳しくなり、昔はこのくらいOKだったのに、ということが通用しなくなってきています。管理職の皆さんは今一度、まずは自分自身がセクハラと捉えられるような言動をしていないか、または部下の間で加害者/被害者がいないか、またセクハラが発生した場合の対応フローなどを確認してみてはいかがでしょうか。

 

(コラボレーター 笠作鮎美)

キューブ・インテグレーション株式会社 コラボレーター
公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラー 【専門領域】人事支援、復職支援、働く人のメンタルヘルス
総合病院とEAP企業にて働く人のメンタルヘルス問題に従事したのち、現在は企業人事を支援する立場から、社員のメンタルヘルス不調や問題行動に対して、コンサルテーションや支援を行っている。

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