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専門家コラム

復職後のフォローアップについて②

2018-02-07 テーマ: 人事支援

前回の続き、具体的な取り組みについて述べます。

復職者本人との面談では、体調や通院状況などの基本情報も確認しますが、業務遂行状況や業務負荷に対する充足感、休職に至った要因や本人の抱える課題に再直面していないかを重点的に伺います。業務遂行状況については、復職者本人の自己認識と上司の評価との間に大きなズレがあり、その後もズレがなかなか埋まらないと、再発リスクにつながります。面談では、状況に応じて認知行動療法などの手法を用いながら支援し、その後本人の状態や職場で現れるであろう本人の課題や対応方法を上司と共有します。

 

休職中にリワーク施設等で自分の課題に向き合い、準備してきた復職者であっても、職場で再び自分の傾向や課題に直面することも多く、その際にタイムリーな支援ができれば、再発防止の一助となります。

 

また、上司の方は忙しい方も多く、復職者の業務遂行レベルが低い状態が確認できても、その原因分析や対策考案の部分にまでなかなか時間を割けないことが多いでしょう。コラボレーター面談では、本人の状態を確認しながら、それが病状によるものなのか、自信のなさや周囲からの孤立のせいなのか等、原因を分析し、本人と必要な努力を整理した上で、上司の方に見通し感や必要な配慮についてのフィードバックをします。

 

復職を成功させるためには、もちろん本人の復職準備や復職後の努力が欠かせませんが、 上司の方がうまく関わり、身近な協力者となれるかどうかも大きな鍵となります。心理士などの専門家が本人とお会いできる頻度は限られていますし、上司や周囲の方が負担感少なく復職支援に取り組める環境を整え、関係者がしっかり連携しながら必要な対応を取っていくことが現実的で無理のない復職後フォローとなるのではないでしょうか。

 

どんな企業/人事にとっても、対象者の復職自体が目的・ゴールではなく、復職した後、再発せずに仕事をし続け、適切なアウトプットを得られることが目的であると考えると、休職中の支援のみならず、復職後のフォローアップも重要であることは自明と言えます。しかし、なかなかそこまで手をかけられていない企業も多いのが現状でしょう。ぜひ、これを機に復職後のフォローまでを含めた支援体制の構築を検討してみてはいかがでしょうか。

キューブ・インテグレーション株式会社 シニアコラボレータ―
臨床心理士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント 【専門領域】産業精神保健、ストレスマネジメント、認知行動療法、リラクセーション(ヨガ)
公立大学付属病院精神科デイケア、心療内科クリニックデイケアを経て、精神科クリニック外来業務、教育相談課スクールピア事業に従事。その後、EAP事業会社にてカウンセラーとして従業員からの相談、研修業務に携わり、企業のメンタルヘルスケアを支援。

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