
治療と職業生活の両立支援に向け、企業が取り組むべきこと①
平成28年2月に、厚生労働省から「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」が公表されました。既に1年以上が経過していますが、「治療と職業生活の両立支援」は、企業に浸透しているのでしょうか。これまでのメンタルヘルス対策に加えて、企業として、何を取り組まなければならないのか?今回のコラムでは、このテーマについて考えてみたいと思います。
まず、このガイドライン策定の背景としては、下記の状況があります。
1.近年の診断技術や治療方法の進歩により、何らかの疾病や障がいを抱える労働者が増加している
2.労働人口の減少によって日本の経済成長の阻害を懸念し、将来的な働き手の確保を、国を上げて推進している
また、企業側は従業員が病気になったからといって、簡単に解雇できない現状もあり、これまでも休職の長期化や復職後のパフォーマンス不良の課題を抱えてきました。さらに、治療と職業生活の両立を考えることによって、疾病や障がいといった従業員のプライベート要因を企業が引き受けていかなればならない時代に移り変わっていくのだろうと思います。
疾病や障がいを抱える労働者が安心して働ける職場環境作りは、多様な労働者が定着する土壌となり、経済産業省の推進する「ダイバーシティ経営」にも通じます。このような流れは、これからの企業評価の一指標となってくるのではないかと想像しますが、疾病や障がいに配慮しながら、業務効率や生産性の向上をマネジメントしていくことは、なかなか容易なことではありません。
次回はメンタルヘルス対策に加えて、企業として、何を取り組まなければならないのか?について、ガイドラインから2つのポイントを挙げてみたいと思います。
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キューブ・インテグレーション株式会社 シニアコラボレータ― |
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公認心理師/臨床心理士/シニア産業カウンセラー
【専門領域】障がい者雇用の企業支援、精神障がい者の採用・定着・育成支援 精神科・心療内科クリニックにて、医師との協働で会社員のメンタルヘルス相談等に関与。EAP事業会社にて企業のメンタルヘルス支援に従事。現在は、企業の人事部門に対する障がい者雇用のコンサルテーション、精神障がい者の現場管理職・本人支援を実施。 |
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