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専門家コラム

行動から見る心理学 その6

2017-06-06 テーマ: 人事支援

今回は、「行動」が上手く出来ない理由‐「行動」が具体的に定義されていない、

ということについて説明します。

 

“美味しい料理を作る”というのは一見具体的な行動のように見えます。

しかし“美味しい”とはどういうことなのかを説明しようとすると、

なかなか難しいことに気づくと思います。

美味しさというのは主観的なものですので、

“美味しい料理”というのは人それぞれ、ということになってしまいます。

 

これでは“美味しい料理を作る”というのは、具体的な行動と言えません。

 

そこで、「行動」を起こすための第一歩として、

「行動」を具体的に定義し直す、ということが重要になってきます。

 

例えば、今回の“美味しい料理を作る”という行動は、

“レシピ本の指示どおりに料理を作る”と定義し直すことができます。

こうすることで美味しい料理を作るためには何をすればいいのかが具体的になります。

 

このように“具体的に定義されていない行動”は仕事にも溢れています。

 

例えば、

・「今の仕事が終わったらその辺の人に声をかけて」

→ “その辺の人”とは具体的に誰なのでしょうか?

・「わからないところがあれば適宜先輩に聞きながら進めて」

→ “適宜”とは具体的にどういうタイミングなのでしょうか?

・「〆切まではまだ時間があるけど、十分な余裕を持って提出してください」

→ “十分な余裕”とは具体的に何日前でしょうか?などです。

 

私たちは何気なく条件を曖昧にしたまま考えたり、

指示を出したりしていますが、

上手く行動が出来ない原因は意外とこのような見えない部分にあるのです。

 

職場で生じるコミュニケーション上のトラブルの多くは、

このように「行動が具体的に定義されていない」ことによって生じています。

 

最近受けるご相談では、“上司が行動を具体的に定義しないまま指示をし、

部下が曖昧な指示を理解できずにトラブルになる”といったケースも多く見られます。

 

「行動を具体的に定義する」ということを意識して行うことによって、

このようなケースにおいても的確な指示を出すことができ、

職場で生じるコミュニケーション上のトラブルを減らしていくことが期待できると言えるでしょう。

キューブ・インテグレーション株式会社 シニアコラボレータ―
産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、二級FP技能士 【専門領域】産業精神保健、認知行動療法、ストレスマネジメント
臨床心理専攻。専門学校で学生の心理及びキャリア相談を担当。EAP事業会社にて、カウンセリング部長として企業のメンタルヘルス全般をサポート。約2000件の従業員への臨床に携わる。外資系会社から商社、組合・公務員団体等多岐にわたる研修を実施。

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