自発性を育てる「問い」の力
「社員がもっと自発的に考えて行動できるようになる方法を教えて欲しい。」
チームを率いる立場にある方からこういった相談をお受けすることがあります。
おそらく多くのマネジャーがその答えを求めているのではないでしょうか。
「自分で考える」ようになるためのポイントの一つは、「自分自身で問いを生
み出すプロセス」にあります。
ある営業スタッフが先輩社員Aとクライエント企業に営業に行ったときのこと
です。商談の後の打ち合わせで、先輩社員Aがこんな指示を出していました。
「さっきの話だと先方は、要は○○の情報が欲しいっていうことだよね。だか
ら、必要な情報を集めて資料にしておいて。」
ところが別の先輩社員Bは、同じような場面でこう話しています。「さっきの
商談、どこがポイントだった?次のアポイントまでに僕たちはどんなアクショ
ンを取ったらいいと思う?」
Aさんから指示を受けた場合、スタッフは“とりあえず”先輩社員の指示通り
資料作りに取り掛かります。おそらくスムーズにスピード感をもって顧客の要
望に応えるためのアクションがとれるでしょう。
一方、Bさんはひとまず自分で考えることを求められています。
場合によっては答えに窮したり、的外れな答えになってしまい、
遠回りをしてしまうこともあるかもしれません。
しかし「次回、Bさんと商談に行ったらまた、自分の考えを聞かれるだろう。」
と思い、これまで以上に「考えながら」商談に臨むようになります。それを繰
り返しているうちに「顧客の要望は何か?」「要望に応えるためにどんなアク
ションがとれそうか?」という「問い」が自然に自身の中から生まれてくるこ
とに繋がるのです。
もっとも、問われたときにメンバーが「詰められている」と捉えてしまうと、
緊張を生むだけの場になってしまいます。
また、メンバーが考えを述べたときに上司に「いやそれは違うだろう。」と
否定されることが繰り返されると、次第に「上司の答えを探す」癖がついてしまい、
それは「自身の中に問いを生み出す」とは異なったものになるでしょう。
自発的に考える力を育てるための「問う」場づくりには、メンバーが安心して
話せる関係性、そして上司の「問うスキル」も必要といえます。皆様の職場で
は、いかがでしょうか。
キューブ・インテグレーション株式会社 シニアコラボレーター | |
公認心理師 / 臨床心理士 / キャリアコンサルタント
【専門領域】産業精神保健、復職支援、認知行動療法、コーチング 外食企業にてマネジメントを経験後、飲食店不振店再生プロジェクト等に携わる。その後大手コーチングファームにて、管理職層のリーダーシップ開発等を目的としたコーチング、研修講師等を担当する。現職では、メンタル不調者への面談や復職支援等を担当。 |
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