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臨検監督
[リンケンカントク]

「臨検監督」とは、労働基準監督署による行政指導の一種で、事業所への立ち入り調査のことです。企業が労働基準法などの労働関連法令に違反していないかを調査する目的で、定期的に、あるいは働く人などからの申告などを契機として、労働基準監督官が事業場に立ち入り、機械・設備や帳簿の確認、関係者への事情聴取などを実施します。その結果、違反が認められた場合は、事業主などに対して是正勧告や改善指導を行い、危険性の高い機械・設備などについては、その場で使用停止などを命じる行政処分を下します。働き方改革が国を挙げて加速する中、労基署も「臨検監督」の際に法の適用を厳格化するなど、過重労働を放置する企業への取り締まりを強めているといわれています。

臨検監督のケーススタディ

社員の家族からの通報で労基署がやってくる!?
「働き方改革」の加速を受けて取り締まり強化

2016年に起きた大手広告代理店の社員の自殺事件を機に、労働基準監督署による労働関連法令違反の摘発が厳しさを増しています。「臨検監督」における法の適用が厳格化され、明らかな“ブラック企業”とは言えないまでも、過重労働などの慢性化に手をこまぬいている企業への取り締まりは、かつてないほどに強化され始めました。

「臨検監督」には以下の四種類があり、主に労働条件、労働時間、賃金、年次有給休暇、安全衛生管理、健康管理などの項目について調査が行われます。

1.定期監督
労基署の主導で計画的、定期的に行われる調査。あらかじめ定めた監督方針に従って対象事業場を選定し、毎月実施されます。

2.申告監督
労働者などからの申告にもとづいて実施される調査。従業員や退職者から不当解雇や残業代未払いなどについて是正や救済を求める申告があった場合に、その内容を確認するために行われます。

3.災害時監督
一定の重篤な労働災害が発生した場合に、原因究明や再発防止のために行われる調査。

4.再監督
1~3の調査で法令違反を指摘され、是正勧告や改善指導を受けた事業場を対象に、是正措置の実施状況を確認するために行なわれる調査。

2015年中に労基署が事業場に赴き、上記四種類の「臨検監督」を実施した件数は16万9236件で、再監督を除く1~3の立ち入り調査はあわせて15万5428件にのぼりました。その約7割にあたる10万7816件で何らかの違反が発覚、1348社が総額99億9423万円の未払い残業代を支払う結果となり、966件が是正勧告に従わないなどとして検察庁に書類送検されています。さらに、上述の痛ましい事件が長時間労働是正のための働き方改革の機運を一気に高め、今年5月には16年10月~17年3月の間に労基法違反などで書類送検された企業334社が実名公開されました。

近年は、「臨検監督」の中でも申告監督の件数が急増。社員・元社員本人からの申告や労働相談に加え、労働者の家族からの労基署への通報がきっかけで立ち入り調査におよぶケースも増えています。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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