
ストレスチェック受検者の認識と行動に関する実態調査を実施
【2028年までに義務化】3人に1人が高ストレス経験も、約5割が対処せず。
ストレスチェックの形骸化と社内相談の限界が浮き彫りに
メンタル不調未然防止のための社外相談窓口ニーズが明らかに
株式会社Smart相談室は、従業員50名以上の企業に勤務しており、直近3年以内にストレスチェックを受検した経験がある会社員430名を対象に、ストレスチェック受検者の認識と行動に関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。
■サマリ
- ストレスチェック受検者の3人に1人が高ストレス判定経験あり。判定後に対処したという回答は約半数にとどまる
- 高ストレス判定後、対処しなかった理由は、「相談しても状況は変わらない」(43.5%)、「形式的なもので意味がない」(31.9%)
- メンタル不調に早く気づくために従業員が望むサポートは「不調でなくともいつでも気軽に相談できる窓口」が38.1%で最多、「匿名で相談できる窓口」25.6%が続く
■調査背景
2028年までに全事業所での実施が義務化されるストレスチェック制度。本制度は労働者自身がストレス状態を把握し、早期の対処や医師の面接指導、職場改善を通じてメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。しかし、制度導入から10年が経過した現在、精神障害の労災支給決定件数は導入時の2倍以上に増加しており、メンタル不調の「未然防止」という本来の目的が十分に果たされているとは言い難い状況です。ストレスチェックに対する受検者の認識や取り組み方にどのような課題があるのか。真にメンタル不調の未然防止を実現するために何が必要なのか。本調査では、その実態を明らかにします。
■会社員のストレスチェックへのイメージ、「自分の状態を知る良い機会」が36.0%で最多も、「形式的」18.6%、「義務的」12.1%との認識も
「Q1. あなたは、ストレスチェックに対してどのようなイメージを持っていますか。最も近いものをお選びください。」(n=430)と質問したところ、「自分の状態を知る良い機会」が36.0%となり、制度の目的の一つである従業員のセルフケアの促進には一定の理解が得られているといえます。一方、「形式的であまり意味がないもの(18.6%)」、「義務的に受けているだけのもの(12.1%)」という回答が続き、制度の形骸化が課題として浮き彫りとなりました。
- 自分の状態を知る良い機会:36.0%
- 形式的であまり意味がないもの:18.6%
- 義務的に受けているだけのもの:12.1%
- 会社が従業員を大切にしている証:9.5%
- 生活習慣や働き方を見直すきっかけ:9.1%
- プライバシーが心配:2.6%
- その他:0.2%
- 特にイメージはない:9.1%
- わからない/答えられない:2.8%
■ストレスチェックをすべて“本音”で回答している人は35.3%に留まる結果に
「Q2. あなたはストレスチェックを実施する中で「本音」で回答していますか。」(n=430)と質問したところ、「すべて本音で回答している」と回答した人は35.3%でした。正確なストレス状況を把握するには本音での回答が不可欠ですが、6割以上の従業員が本音ではない回答をしているという実態が見えてきました。
- すべて本音で回答している:35.3%
- ある程度本音で回答している:49.3%
- あまり本音で回答していない:11.2%
- ほとんど本音で回答していない:4.2%
■本音で回答しない理由、「会社が形式的にやっているように感じる」「産業医面談を受けないといけなくなる」が各27.3%で同率1位
Q2で「あまり本音で回答していない」「ほとんど本音で回答していない」と回答した方に対して、「Q3. ストレスチェックに本音で回答していない理由を教えてください。(複数回答)」(n=66)と質問したところ、「高ストレス者と判定されると産業医面談を受けないといけなくなるから」が27.3%、「会社が「法令遵守」のためだけに形式的にやっているように感じるから」が27.3%、「高ストレス判定されると人事異動や今の仕事から外される可能性があるから」が25.8%という回答となりました。ここから、従業員側が抱く「調査への不信感」や「不利益を被ることへの不安」が、回答を躊躇させる主な要因となっていることが推察されます。
- 高ストレス者と判定されると産業医面談を受けないといけなくなるから:27.3%
- 会社が「法令遵守」のためだけに形式的にやっているように感じるから:27.3%
- 高ストレス判定されると人事異動や今の仕事から外される可能性があるから:25.8%
- 正直に答えると面倒なことになりそうだから:24.2%
- 正直に答えても状況は変わらないと思うから:21.2%
- 自身の人事評価に影響するのではないかと不安だから:15.2%
- 「メンタルに問題がある人」という目で見られるのが嫌だから:13.6%
- ストレス度が高いと上司や部署全体の評価が下がり迷惑をかけるから:9.1%
- 業務が忙しく一つ一つ丁寧に回答する時間がないから:7.6%
- その他:0.0%
- わからない/答えられない:13.6%
■本音で回答するために必要な環境、「完全に匿名で会社の人には知られない保証」が25.8%で最多
Q2で「あまり本音で回答していない」「ほとんど本音で回答していない」と回答した方に対して「Q4. どのような環境や仕組みがあれば、ストレスチェックに本音で回答できるようになると思いますか。(複数回答)」(n=66)と質問したところ、「完全に匿名で、会社の人には知られない保証」が25.8%、「ストレスチェックを受けるメリットの明確化」が22.7%という回答となりました。多くの従業員は、結果が評価や処遇に直結しないという心理的安全性の担保と、自分自身の健康維持に役立つという受検意義の共有を望んでいる実態が浮かび上がりました。
- 完全に匿名で、会社の人には知られない保証:25.8%
- ストレスチェックを受けるメリットの明確化:22.7%
- 人事部門とは独立した第三者機関による実施:16.7%
- 高ストレス判定でも産業医面談を強制されない仕組み:16.7%
- 不利益な扱いをした上司や部署に対し、会社が厳格なペナルティを課す仕組み:15.2%
- 会社ではなく、個人が結果を管理できる仕組み:13.6%
- 社外カウンセリングやチャット相談などのケアを自分で選べる仕組み:9.1%
- 結果に基づいたセルフケア方法の提示:4.5%
- その他:0.0%
- 特にない:12.1%
- わからない/答えられない:13.6%
■受検経験者の約3人に1人が「高ストレス判定」を経験
「Q5. あなたは、これまでのストレスチェックにおいて、高ストレス判定を受けた経験がありますか。」(n=430)と質問したところ、「ある」が33.7%、「ない」が62.1%という回答となり、受検経験者の約3人に1人が「高ストレス判定」を経験していることがわかりました。
- ある:33.7%
- ない:62.1%
- 答えられない:4.2%
■高ストレス判定経験者のうち、具体的な行動を起こしたのは51.7%にとどまる
Q5で「ある」と回答した方に対して、「Q6. あなたは、高ストレス判定を受けた後、何か具体的な行動をしたことがありますか。」(n=145)と質問したところ、「ある」が51.7%、「ない」が47.6%という結果となりました。高ストレスと判定されながらも、約半数が適切なケアや対処を行っていないという実態が見えてきました。
- ある:51.7%
- ない:47.6%
- 答えられない:0.7%
■高ストレス判定後に取った行動、「高ストレス判定を受けて案内される産業医面談を受けた」が52.0%でトップ、「社内の相談窓口を利用した」も36.0%
Q6で「ある」と回答した方に対して「Q7. 高ストレス判定を受けた後に実施した具体的な行動を教えてください。(複数回答)」(n=75)と質問したところ、「高ストレス判定を受けて案内される産業医面談を受けた」が52.0%、「社内の相談窓口を利用した」が36.0%という回答となりました。
- 高ストレス判定を受けて案内される産業医面談を受けた:52.0%
- 社内の相談窓口を利用した:36.0%
- 会社が契約している社外相談窓口を利用した:18.7%
- 病院やクリニックにかかった:18.7%
- 社外のカウンセリングサービスを自分で探して利用した:16.0%
- 自分なりにストレス軽減の取り組みを始めた:16.0%
- 上司や人事に相談した:12.0%
- 家族・パートナーに相談した:10.7%
- その他:1.3%
- わからない/答えられない:0.0%
■行動しなかった理由、「相談しても状況は変わらないと思ったから」(43.5%)、「ストレスチェック自体が形式的なもので意味がないと思ったから」(31.9%)が上位
Q6で「ない」と回答した方に対して「Q8. 高ストレス判定を受けた後、具体的な行動を起こさなかった理由を教えてください。(複数回答)」(n=69)と質問したところ、「相談しても状況は変わらないと思ったから」が43.5%、「ストレスチェック自体が形式的なもので意味がないと思ったから」が31.9%、「いきなり産業医に相談するのはハードルが高いと感じたから」が23.2%という回答となりました。
- 相談しても状況は変わらないと思ったから:43.5%
- ストレスチェック自体が形式的なもので意味がないと思ったから:31.9%
- いきなり産業医に相談するのはハードルが高いと感じたから:23.2%
- 会社や上司に知られたくなかったから:15.9%
- ストレスチェックの結果をどう活用すればいいかわからなかったから:14.5%
- 相談や行動を起こす時間がなかったから:13.0%
- 特に困っていなかったから:13.0%
- 誰に相談すればいいかわからなかったから:10.1%
- 相談することが恥ずかしいと感じたから:4.3%
- その他:4.3%
- わからない/答えられない:0.0%
■高ストレス判定を受けていない受検経験者でも4割超が、メンタル不調を経験
Q5で「ない」と回答した方に対して、「Q9. これまでに,ストレスチェックで高ストレス判定は出なかったものの、実際にはメンタル面の不調や強いストレスを感じたことはありますか。」(n=267)と質問したところ、「よくある」が8.6%、「ときどきある」が33.0%という回答となりました。この結果から、ストレスチェックの判定結果のみを基準としたケアでは不十分であり、全従業員を対象とした包括的なサポート体制の重要性がうかがえます。
- よくある:8.6%
- ときどきある:33.0%
- あまりない:43.4%
- 全くない:12.0%
- わからない/答えられない:3.0%
■従業員が求めるサポート、「いつでも気軽に相談できる窓口」が38.1%で最多、「匿名相談窓口」も25.6%に上る
「Q10. あなたは、自分のメンタル面での不調に早く気づくために、会社や周囲にどのようなサポートがあれば良いと思いますか。(複数回答)」(n=430)と質問したところ、「不調でなくともいつでも気軽に相談できる窓口」が38.1%、「匿名で相談できる窓口」が25.6%という回答となりました。
- 不調でなくともいつでも気軽に相談できる窓口:38.1%
- 匿名で相談できる窓口:25.6%
- 産業医や保健師との面談機会:19.5%
- 定期的な上司との1on1面談:18.6%
- メンタルヘルスに関する研修や情報提供:16.5%
- 定期的な人事との1on1面談:15.1%
- ストレスチェック以外のセルフチェックツールの提供:12.6%
- その他:0.9%
- わからない/答えられない:15.8%
■臨床心理士解説:高ストレス者の約半数が対処せず。社内リソースの限界と社外相談窓口の必要性
ストレスチェックの実施自体が目的化してしまい、本来の目的であるメンタルヘルス不調の予防に取り組めていないという課題は、人事・労務のご担当者のみなさまからも頻繁に伺う内容です。
メンタルヘルス対策として、ストレスチェックや産業医面談、人事・労務担当者等による相談窓口の設置は多くの企業で採用されています。その一方、高ストレス判定を受けた方の約半数(47.6%)が「何も行動していない」という結果や、その理由として挙げられた「相談しても状況は変わらないと思ったから」(43.5%)という諦め、「いきなり産業医に相談するのはハードルが高いと感じたから」(23.2%)、「会社や上司に知られたくなかったから」(15.9%)という社内相談への心理的ハードルの高さを鑑みると、従業員の多様化する悩みに対して、社内のリソースだけで対応することには構造的な限界があるといえます。
厚生労働省の定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針」においては、社内外に支援の網を広げることにより、メンタルヘルス不調になった後のケアだけでなく、不調になる前からのケア(未然防止)が推奨されます。今回、従業員が企業に求めるサポートとして「不調でなくともいつでも気軽に相談できる窓口」(38.1%)や「匿名で相談できる窓口」(25.6%)が挙げられたことからも、事業場外資源の活用によって、従業員が健康なときから「社内の評価を気にせず安全に」相談できる環境を企業が提供することの価値はますます高まっているといえるでしょう。
【調査概要】
調査名称:ストレスチェック受検者の認識と行動に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査日:2026年2月19日
有効回答:従業員50名以上の企業に勤務しており、直近3年以内にストレスチェックを受検した経験がある会社員430名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社Smart相談室 /2026年3月24日発表・同社プレスリリースより転載)








