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QOL(クオリティ・オブ・ライフ)
[クオリティオブライフ]

「QOL(Quality of Life)」は、しばしば「生活の質」と訳されます。主に医療や福祉といった分野で使われ、療養している患者が身体的、精神的、社会的、経済的な面で、納得のいく生活を維持していくことを目指す考え方です。最近は医療・福祉分野にとどまらず、一般的に「物理的・精神的な生活の豊かさ」を指す言葉になっています。

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)のケーススタディ

健康、人間関係、やりがい
衣食住にとどまらない幸福感にどう向き合うか

豊かさとは何か。かつては「いかに衣食住を確保できるか」が豊かさの指標とされ、衣食住に恵まれた生活が幸せに直結していました。しかし現在は、着るものも食べるものも豊富にあり、自由に住む場所を選ぶことはそう難しくありません。

ではそれに伴って、人々の幸福レベルは上がっているのでしょうか。うまく人間関係が築けずに孤独を感じていたり、目の前の仕事をこなすだけでやりがいを感じていなかったりする人も多いのではないでしょうか。

物質的に満たされているだけでは、人は幸せを感じられません。精神的な豊かさを含めた「QOL」は、現代に生きる人たちが考えるべき概念で、1960年代に米国で提唱され、日本では1970年代ごろから唱えられるようになりました。
 
精神的な豊かさの定義は、人によって尺度や程度が違います。あえて要素を分解すると、十分な衣食住に加え、心身の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、十分な教育、充実した余暇、といった観点が挙げられます。このことからも分かるように、何を得ればQOLが上がるのかは、人それぞれ。自分にとってのQOLを追求することが必要なのです。
 
QOLという概念の起源でもある医療・福祉業界では、QOLの考え方が浸透した結果、より踏み込んだ治療を提供できるようになってきました。QOLは、「ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)」という概念と比較されます。

ADLは、一人ひとりが行っている日常動作。介護保険制度の基準として、「この人は介護が必要か。必要であるならばどの程度なのか」を見極めるための指標にADLは使われます。しかしADLが満たされているからといって、QOLも満たされているとは限りません。
 
例えば、仲間とのテニスを生きがいにしていた男性がケガをし、歩行が困難になったとします。リハビリによって最低限の歩行は可能になったけれど、テニスができるほどには回復しなせず、喪失感が大きかった場合、ADLは満たされてもQOLが満たされているとは言えません。

そのため医療・福祉従事者は、患者が何に幸福を見出す人物なのかを知って初めて、本当の回復のための処置を行うことができます。患者のQOLを維持・向上するためのプロダクトも次々と開発されている今、QOL向上への対応がさらに求められそうです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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