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つながらない権利
[ツナガラナイケンリ]

「つながらない権利」とは、労働者が勤務時間外や休日に仕事上のメールなどへの対応を拒否できる権利のことです。2016年5月、フランスにおける労働法改正の一環として、すべての被雇用者に対し勤務時間外の業務連絡の電話や電子メールからの解放を保障する新法が成立し、今年1月から施行されました。海外メディアなどがこれを「つながらない権利」(The right to disconnect)を認めるものと報じたことから反響が広がり、わが国でも働き方改革に関連する新しいキーワードとして注目されています。
(2017/1/27掲載)

つながらない権利のケーススタディ

オフタイムに“つながる”ことを拒否できる権利
勤務時間外の社内メールを原則禁止にする企業も

勤務時間外は仕事のメールや電話に応えなくていい――そんな「つながらない権利」を働く側に認める法律が、フランスで2017年1月から施行されました。新法は、従業員50人以上の会社が対象。勤務時間外の従業員の完全ログオフ権(メールなどのアクセスを遮断する権利)を定義する定款の策定を義務付ける内容で、雇用主と従業員らが勤務時間外のデジタルコミュニケーションを制限する方法について協議し、やり方を定めることなどを求めています。「つながらない権利」は、企業に勤務時間外のメールなどを強制的に禁止するものではありません。従業員側に対応を拒否する権利を保障するもので、フランスの新法では、権利侵害を理由に訴訟を起こすこともできるようになりました。

「つながらない権利」が法制化された背景にあるのは、ICTの進歩・普及による働き方の変化です。週35時間の労働時間制限が義務付けられ、先進国中もっとも労働規制の進んだ社会として知られるフランスにおいてさえ、職場に広がるデジタルコミュニケーションがオン・オフの境界線をあいまいにし、労働時間制限を事実上無効にするおそれが高まっていました。

翻ると日本は、もともと長時間労働や持ち帰り残業が常態化している上、「顧客のためなら休日も時間外も関係ない」といった風潮も根強いため、状況はより深刻といえるかもしれません。スマートフォン一台あれば、いつでも、どこでも仕事と“つながる”ことができてしまう労働環境。便利になった一方で、プライベートな時間への侵食には歯止めがかかりません。独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った13年の調査によると、始業と就業時間が決まっている通常の被雇用者でも、勤務時間外の連絡が「よくある」「ときどきある」と回答した人はあわせて3割を超え、就業時間を自分で決められる裁量労働制では4~5割に上りました。

時間外連絡への対応が過剰労働につながるとして、対策に乗り出した企業もあります。ジョンソン・エンド・ジョンソンは15年7月からグループ4社で、午後10時以降と休日の社内メールのやり取りを原則禁止にしました。管理職や役員も例外ではありません。三菱ふそうトラック・バスでは、親会社のドイツ・ダイムラー社が14年8月に導入した「長期休暇中に社内からのメールを受信拒否・自動削除できるシステム」を、親会社に倣う形で同年12月から導入しています。

近年、大手企業がICTを活用した在宅勤務やリモートワークを相次ぎ導入するなど、時間と場所にとらわれない働き方も徐々に広がってきました。そうした中、「つながらない権利」をどう考え、どう取り扱うか――日本でも避けて通れない課題であることは間違いないでしょう。

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