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役割葛藤
[ヤクワツカットウ]

役割葛藤とは、「社員」と「母親」など複数の役割を同時に担う際や、「管理職」など一つの役割の中で相反する要求に直面する際に生じる、心理的な緊張やストレスを指します。役割葛藤が長期化すると、心身の健康に悪影響が出るほか、エンゲージメントの低下や組織全体の生産性低下、離職率上昇につながるため、人事労務管理において重要な問題として認識されています。

役割葛藤のケーススタディ

エンゲージメント低下につながる役割葛藤
ストレスを軽減し、生産性を向上させるには

役割葛藤は社会学や組織論、臨床心理学において広く研究されている概念で、主に二つのタイプに分類されます。

一つ目は、役割間葛藤。社員や母親など、複数の役割を同時に担うことに対して葛藤することを指します。典型例は、ワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事と家庭の役割対立)。「重要な会議があるので残業しなければならない」という会社における役割と、「子どもが病気なので早く帰宅しなければならない」という家庭における役割が衝突するケースです。フレックスタイム制度やリモートワーク制度といった柔軟な働き方を導入し、従業員が仕事とプライベートを両立しやすい環境を整備することで解消が期待できます。

二つ目は役割内葛藤。たとえば中間管理職が、上層部から「コスト削減の徹底」を求められ、部下から「労働環境の改善」を求められる場合に生じる「どちらの期待に応えるべきか」というジレンマが挙げられます。役割内葛藤に対しては、「コンフリクト・マネジメント」のスキル研修を実施し、相反する要求を解決する能力を高めることが有効です。

役割葛藤による従業員のストレスを軽減し、生産性を向上するためには、個人の問題として片付けず、組織や制度の問題として捉える姿勢が不可欠です。エンゲージメントサーベイやストレスチェックを効果的に活用し、柔軟な制度設計と従業員に寄り添ったサポートを行うことが、組織の持続的な成長を支える鍵となります。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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