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専門家コラム

災害時の社員対応

2019-11-25 テーマ: メンタルヘルス

【ヒューマン・タッチ レター vol.24】

 

みなさんこんにちは。森川です。

今回は、災害時の社員のメンタルヘルス対策について。

記憶に新しい、今年の千葉県の台風や大雨の被害ですが、

弊社のお客様にも甚大な被害が及んでいるところもあります。

いち早い復興と、皆様のこころとからだの健康について、お祈りするばかりです。

 

2011年の東日本大震災の際にも、

千葉県内ならず、東北6県、いろいろと支援で回りました。

震災直後は、一般的には、こころの健康よりも、

安全、生活、といった場面が優先されます。

この時期には、皆で助け合おうという気持ちも強く、

いつもより力が出ている状況かもしれません。

 

ただ、このような状況は長くは続かないですよね。

避難所にいる方々であれば、プライバシーもない・寒い・熱い・空腹・先が見通せない、

といった状況の中、心身の疲れは溜まってくると思います。

 

一方、このような中、勤務を継続している方がいるのも現実です。

朝晩は家の片づけをしながら、もしくは近所への支援を継続しながら、

勤務を継続されています。

このような状況では、社員の状況確認、本社や支店との連絡業務、

運び込まれる救援物資の整理、などなど、多忙を極める状況に陥りがちです。

特に、現場の管理監督者の皆さんの勤務は苛酷になってしまいがちです。

責任感が強い方はなおさらですね。

 

ご自身も被災されて、家が流されているにもかかわらず、

「家族を失った部下に比べれば、自分は大丈夫です」と気を張っておられました。

にわかには信じがたいお言葉です。

大切な家財が一切合切流されているにも関わらず、会社で指揮をとられている管理職です。

 

しかしながら、どれだけ「火事場の○○力」を発揮できても、それらは無限ではありません。

震災後、余震が続く中の管理監督者への面談では

「地震が怖いんです。本当は、地元に帰りたいのです」

と涙ながらに訴えてこられた女性の管理職もおられました。

 

被災後、まずは健康管理部門(産業医など)から、

このような状況で起こりうる状況の変化を、正しくお伝えすることは意味があると感じます。

「異常な状況での正常な反応」です。

ただ、これらが継続するようであれば、また時間が経ってから強まってくるようであれば、

対応が必要になりますので、つなぎ先の情報は必須です。

 

次に、大きな影響を受けた方たちを中心に、急性でのストレス反応が出ていないか、

個別の面談を実施します。

これは希望される方全員に対応できるようにしたいところです。

面談については、継続した実施ができることを担保し、

しっかりとそれを伝えて安心感を持ってもらうことに気を付けます。

 

さらに、業務面では、上記に書いたように、

負荷が集中している管理職などに対しては、

ローテーションを組んで強制的に休ませることも必要かもしれません。

 

表面上見える被害はわかりやすいのですが、こころの健康については、見えにくく、

また、時間が経過してから影響を及ぼすこともあります。

継続的な支援体制をいち早く組んで実行していくことは、

企業の存続にもかかわる大切な対応だと思います。

株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
通算500社以上のコンサルティング、900件以上の復職面談、年間100件以上のセミナーをこなすメンタルヘルス対策専門コンサルタントです。
メンタルヘルス対策の仕組みづくり、個別休職復職支援、ラインケアセミナー、セルフケアセミナー、全員面談、ストレスチェック、職場環境改善、災害・自死等の危機対応など、「こころ」の視点から、「いきいき職場づくり」をトータルに支援いたします

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