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専門家コラム

臨床心理士が教える不調者対応08~復職支援の成功・失敗事例~

2019-05-20 テーマ: 休職復職支援

みなさんこんにちは。

株式会社ヒューマン・タッチの代表で、臨床心理士の森川隆司です。

 

前回から、復職の失敗例として「本人側の要因」、まず【生活が整う≠復職が可能】について書かせていただいております。

今回は、中でも「復職の基準をどのように定めたらよいのか。また、復職に当たって、どのような情報をだれから求めればよいのか」を中心に述べさせていただきます。

 

■復職の基準について

・先のコラムでも触れておりますが、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」においては、復職時の検討事項(復職判断の要素)について、以下の5点が示されています。

①労働者の職場復帰に対する意志の確認

②産業医等による主治医からの意見収集

③労働者の状態等の評価

・治療状況及び病状の回復状況の確認

・業務遂行能力についての評価

・今後の就業に関する労働者の考え

・家族からの情報

④職場環境等の評価

⑤その他

 

①は復職可能の診断書を本人が提出してきている場合には、その旨確認できる事柄です。

ただし、復職希望の背景に「会社(上司)側からのプレッシャー」「金銭面でのあせり」「復職満了期間前でのあせり」などが隠れていないかは、きちんと把握したいところです。

 

②については、医学的な復帰の根拠について、また、復帰後の配慮等について判断するための対応であり、産業医が対応してくれる場合であれば、対応は任せられます。

ただ、本人同意の上、人事労務部門としては、「今後の治療方針」「復職にあたっての注意事項」「すぐに主治医に連絡すべき事項」については、産業医経由で確認したいところです。特に、病態や症状によっては、不調の「サイン」が個々に異なりますので、早急に産業医や主治医と連携すべき「サイン」などがある場合は、本人含めてしっかりと確認したいところです。

 

③④⑤については、人事労務担当者として悩ましいところですね。

まず③については、主治医、産業医から復帰に際しての体の準備が出来ているとの判断であっても、どれぐらいの準備レベルなのか、担当者として把握することは難しいと思います。可能であれば、療養中から、以下の項目などについて「〇、△、×」といった評価で、面談時の情報などから随時回復を評価していくのも一つの方法です。

※カウンセラーや産業保健スタッフがいれば専門職の対応望ましいと思います。

・復帰の意欲について(働きたいと積極的に思っている。業務をこなしたいと思う。)

・所定労働時間の業務が可能か(本人の感覚、カウンセラーの評価、主治医の評価など)

・眠りが安定しているか(入眠困難や早朝覚醒が週0日~1日程度のレベルまで回復か)

・生活リズムが整っているか(起きる時間、寝る時間、食事の回数など)

・集中力や思考力が回復しているか(少なくとも図書館などで所定労働時間、週5日、集中力思考力を保って過ごすことが出来るか)

・不調の要因や経過について、自分なりに整理が出来ているか(本人の面(認知の偏り)、環境面、共に)

・気持ちや体を休める習慣や時間を作れているか(土日の過ごし方など)

・不調のサインを把握しているか(頭痛・腹痛・腰痛・肩こり・イライラなど様々)

・不調時のつなぎ先を認識できているか(主治医、産業医、産業保健スタッフ、人事労務担当者、上司など)

・治療(服薬)について、主治医からの指示をきちんと守れているか

・復帰後の業務や生活について、どのようなことを意識していきたいか、意識していくべきか整理できているか。

 

これらの事項を、療養中からの面談が可能であれば、本人と評価を確認し、回復を共有していくことは意味があると考えています(〇や△が増えていくことを確認できること自体、自信につながり意味があることも)。

 

④については、復職プログラムや復職プランをしっかりと関係者で共有することがまずは大切です。

その上で、復帰予定の管理監督者自身の受け入れに対する気持ちを確認し、必要に応じて情報提供(本人の医療に関わる情報の場合には、本人同意を取ること)や、カウンセラーなどによるコンサルテーションも実施出来ればなおよいと思います。

特に休職復職を繰り返してしまっている職員の復帰に関しては、立場に応じていろいろな感情が生まれてくるのは同然と感じます。

 

⑤については、上記で述べた確認事項など以外での特記事項、例えば家族間の問題、お金の問題、ハラスメントの問題など、復帰に関して特別留意すべき事項があれば検討します。必要に応じて、家族との連携も視野に入れる場合もある事項ですね。

 

「心の健康問題」については、考慮すべき範囲も広く、個別性も高い事柄です。

一人で抱えずに、産業医、産業保健スタッフ、主治医、上司、など周りを良い意味で巻き込み、複数の目から情報を集め、合理的な判断を心掛けたいところです。

株式会社ヒューマン・タッチ 臨床心理士
年間100回以上のセミナーーをこなす、メンタルヘルス関連セミナーの専門家です
セルフケア研修、ラインケア研修、コミュニケーション研修、新入社員研修、3年目研修、などお客様のニーズに合わせて、セミナー内容をカスタマイズしております。体験型であり、かつ、セミナー内の気づきを定着いただけるような工夫を取り入れております。

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