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「メンタルヘルス」の歴史・背景

メンタルヘルスに取り組むきっかけは職務上の過労による自殺者の増加だったといわれる

イメージ1998年以降、日本では年間の自殺者が3万人を超えているが、1999年に自殺を労災とする新しい労災認定指針が示されてからは「過労自殺」として労働災害と認定されるケースが急増している。このような状況を受け、メンタルヘルスに取り組む企業が増えることになった。

その背景には、社会を取り巻く環境が大きく変わり始めたことがある。日本はここ10年の間に、情報技術の驚異的な発展、少子高齢化社会の到来、所得格差など多様な社会問題に次々と直面。また企業においても厳しい成果主義や雇用形態の変化によって価値観が多様化し、これまでにない環境の変化が生じてきている。

とくに2008年、アメリカに端を発した金融危機(リーマンショック)の影響は、世界中に深刻な経済不況をもたらし、日本でも倒産やリストラによる失業者を多数生み出すことになった。こうした厳しい不況下、企業は、最小限の人数で効率を上げ、生産性を向上させることを第一の目的にせざるを得なくなった。そのため一人ひとりに過重な労働負荷がかかり、今日では、職務上の過重なストレスから多くの人々が心身の健康問題を抱えるようになった。

現在企業におけるメンタルヘルス活動は発展途上の段階にある

2008年の日本生産性本部メンタルヘルス白書では、「最近三年間に心の病気の社員は増加しているか」という質問に対し、従業員3000人以上の大企業の70%が、“そうである”と回答している。また、“心の病気のために休業している社員がいる”と回答している企業は、74.8%、“心の病気で一番多いのがうつ病である”と回答している企業は94%に達している。

これらの状況を受けて、政府のほか、企業でも自殺防止対策、いわゆるメンタルヘルスの向上により真剣に取り組むようになった。しかし日本における職場のメンタルヘルス活動はまだ十分とはいえない状況にある。労働者健康状況調査によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業は全体の33.6%に過ぎない。ただし、規模によって差があり、従業員が1000人以上の規模になると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業は9割を超える。一方、100人未満の規模の企業では、5割を切っており、10~29人の規模では、29.2%しか取り組んでいない。

メンタルヘルス対策の主な内容としては、「労働者からの相談対応の体制整備」(59.3%)が最も高く、次いで「労働者への教育研修・情報提供」(49.3%)、「管理監督者への教育研修・情報提供」(34.5%)の順となっている。また、対策に取り組んでいる企業のうち、52%が産業医や保健スタッフ、衛生管理者などの専門スタッフを配置している。メンタルヘルス対策の効果については、67%の企業が「効果があると思う」と回答しており、特に専門スタッフを置く企業のほうがより効果を感じているという結果が示されている。

今後は積極的に心の健康を獲得していく時代になる

イメージ企業はメンタルヘルス対策として、何よりもまず顕在化している不調者のケアを優先すべきといえるが、メンタルヘルス不調になることを未然に防ぐことも大事である。この予防的なケアは時間がかかるうえに成果がすぐに目に見えるものではないため、これまでは不調者に対するケアに留まる企業が多かった。しかしここ4、5年は、不調者の対応に一段落ついた企業を中心として社内広報誌やWEBページなどを利用し、メンタルヘルスの基本的な知識を提供したり、管理監督者に対してリスクマネジメントの研修を行ったりするなどの教育活動を行うケースが増えている。また、ワークライフバランスの概念を普及させ、休日労働や有給休暇の取得を促したり、個人の働き方の多様性を認めたりしていこうとする動きも活発化してきた。

最近では、ストレスの高い環境でもある程度順応できるようになればメンタル不調に陥る確率を減らせるという見方から、ストレス耐性を高める教育プログラムを提供するメンタルヘルス事業者が登場している。逆に、誰もがいきいきと仕事をし、働く意義や喜びを見いだせる職場環境が実現できれば、そもそもメンタルヘルス問題に取り組む必要性は少ないという観点から、活性化した職場環境を構築するための研究も始まっている。本来メンタルヘルス対策の根幹は「不調者を出さないようにする」ことである。そのためにも今後は、顕在化している不調者のケアに留まらず、働き方そのものを根本的に見直し、個人がストレスとのつき合い方を学ぶことに焦点を当てた対策を企業が行っていくことが重要になりそうだ。

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